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A3. 1刃・回転当たりの除去体積が同じになることを目安にします。たとえば、切り込み深さを2倍にした場合
には、刃当たり送り量を1/2にします(切削速度はそのままで、送り速度を1/2にする)。ただし、刃当たり
送り量が極端に小さくなると工具寿命は短くなります。切削速度の調整と、加工面、振動などを確認しな
がら刃たり送り量を下げすぎないように調整が必要です。 |
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A4. 曲げ抵抗は、長さ比の3乗(長さが2倍で8倍の抵抗)、径比の4乗で効いてきます。剛性が1/8になると
寿命は1/8以下になるといわれています。刃長、突き出し長さは1mmでも短く選定・調整することが大切
です。一般的に突き出し長さの長いエンドミルを使用する場合にはびびり対策として送り量をさげて加工
します突き出し長さに対するエンドミルのたわみ量はどれくらい影響するのか算出してみました。突き出
し長さを2倍すると、たわみ量(加工面精度)を一定に保つ場合の送り量は、概算で1/27倍になります。つ
まり、突き出長さが2倍程度で加工能率は1/27に低下することになるわけです。 ワークの干渉を最小に
抑えることができる5軸加工機が注目されています。5軸加工機であればエンドミルの突き出し長さを極力
抑え加工能率を向せることも可能になります。チッピングが問題となる耐熱合金のような難削材加工にも
極ショート刃長のエンドミルを使うことが可能になるわけです。 |
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A5. 外周逃げ面を再研削すると無処理品と同等の性能になります。切削条件も20〜30%下げてください。 |
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A6. 切り込みを深く入れると切削抵抗の増大と、切りくず排出がわるくなるため、送り速度を下げなければな
らなくなります。送り速度のみ下げすぎますと、切削熱の蓄積による溶着、擦りによる摩耗の増大、ビビリ
振動の誘発なども想定されます。切り込みを深くして送り速度を下げるよりも、切り込みを浅くして送り速
度を上げて加工した方が、加工・精度の安定性からみて優位になります。バランスのよい切り込み、切削
条件の設定が必要です。 |
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A7. TZミルなど耐熱性の高いコーティングを施したエンドミルでは、高硬度材の高速ミーリングが可能です。
高速ミーリングの場合には、刃先加工点がきわめて高い温度になります。高速回転で断続切削している
加工点へクーラントを供給すると工具が熱衝撃を受けてサーマルクラックによる工具損傷を起こすやすく
なります。高速ミーリングにはエアーブロー又はミストをおすすめします。溝などの連続加工や中低速加
工、被削材では高硬度材を除く鋼や、アルミ、ステンレス、耐熱合金等にはクーラントを供給する方が良好
です。 |
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A8. 穴加工をコンタリングで行う場合、工具送り速度(工具軸の速度)と実行送り速度(加工点の速度)に著
しい差を生じることがあります。実行送り速度が早くなり、切削抵抗も過大になることがありますので送り
速度の設定に注意が必要です。 |
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A9. 水溶性クーラントに切り替えをおすすめします。また、切削条件を下げる、アルミ用コーティングエンド
ミル使用する事をおすすめします。高潤滑膜のアルミ用コーティングは、アルミの耐凝着性に優れてい
ます。 |
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A10. エンドミルは、曲げ抵抗を受けて加工しています。この曲げ抵抗はシャンクをコレットから押し出す力を
発生させています。つかみ代が少ないと把握力が十分ではなくなることがあります。また、繰り返し曲げ
抵抗はコレットをラッパ状に塑性変形(摩耗)させやすくなります。摩耗したコレットは実際のつかみ代をさ
らに短くしています。 エンドミルの抜け対策には、つかみ代を大きくするか、新しいコレットに交換する必要
があります。また、切り込み量や送り量を下げて、曲げ抵抗を軽減させてください。 |